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# 【例文3選】観光協会の志望動機、「地元愛」だけで落ちる人、受かる人の決定的な違いとは?

「地元が、大好きなんです。この想いを、観光協会の仕事で…!」

面接官を前に、精一杯の熱意を込めてそう語った。しかし、返ってきたのは、どこか物足りなそうな、少し困ったような表情。手応えのないまま面接は終わり、数日後に届いたのは「お祈りメール」だった…。

これは、ほんの少し前の、ある就活生のリアルな失敗談です。

あなたも今、同じような悩みを抱えていませんか?

「地元への愛なら誰にも負けないのに、なぜかうまく伝わらない…」

「『好き』という気持ちだけでは、ありきたりで弱い気がする…」

「他の応募者と差がつく、説得力のある志望動機って、一体どう作ればいいんだろう?」

その焦りと不安、痛いほどよくわかります。観光協会の面接では、毎年多くの学生が「地元愛」を語ります。しかし、そのほとんどが、残念ながら次のステップへ進むことができません。

なぜなら、面接官が本当に知りたいのは、あなたの「熱量」だけではないからです。彼らが探しているのは、地域の未来を共に創る「プロフェッショナルな仲間」なのです。

この記事では、単なる「地元ファン」から脱却し、採用担当者の心を鷲掴みにする「未来のパートナー」として自分をアピールするための、具体的な方法と実践的な例文を徹底解説します。

もう「好き」という言葉の呪縛に悩む必要はありません。この記事を読み終える頃には、あなたの経験が「なぜ、あなたでなければならないのか」を語る最強の武器に変わっているはずです。


なぜ「地元が好き」だけでは、もう通用しないのか?

まず、厳しい現実からお伝えしなければなりません。観光協会の採用面接において、「地元が好きだから」という志望動機は、もはやスタートラインにすら立てていない可能性があります。

採用担当者が毎日聞いている「お決まりのセリフ」

想像してみてください。採用担当者は、一日に何十人もの応募者と面接をします。そのほとんどが、「美しい自然が好きです」「温かい人が好きです」「この街の文化が好きです」と、同じような言葉を口にします。

もちろん、地元への愛情は絶対に必要です。しかし、それだけでは「その他大勢」の中に埋もれてしまい、あなたの個性や能力は何も伝わりません。面接官の心には、「また同じ話か…」という退屈な感情しか残らないのです。

あなたは「評論家」?それとも「実行者」?

「好き」という感情は、いわば観光客や消費者側の視点です。地域の魅力を受け取り、楽しむ側の立場です。しかし、観光協会で働くということは、その魅力を「創り出し、届け、収益を生み出す」プロの実行者になるということです。

  • 評論家(ファン)の視点: 「この街の〇〇祭りは素晴らしい」
  • **実行者(職員)の視

点:** 「今年の〇〇祭りの集客目標を達成するため、SNSでどんな投稿をすれば若者層に響くだろうか?」「そのためには、どのくらいの予算が必要で、どうやって確保しようか?」

面接官は、あなたが後者の視点を持っているかどうかを、厳しく見極めようとしています。

「好き」の先にある「仕事のリアル」を理解しているか

提供された資料にもあるように、観光協会の仕事は、私たちが想像する以上に多岐にわたります。そして、その多くは非常に地道な「裏方業務」です。

華やかな活動(表舞台の業務)それを支える不可欠な裏方業務
インフルエンサーを起用したキラキラのSNSキャンペーンマーケティング予算を確保するための、詳細な事業計画書と膨大な数字が並ぶ補助金申請手続き
数千人が熱狂する大規模な花火大会の開催関連業者数十社との交渉、行政からの開催許可取得、警備計画の策定、そして近隣住民への説明会といった、泥臭い調整業務
手に取るだけで旅に出たくなる、美しいフルカラーの観光パンフレット掲載する50以上の店舗や施設へのアポ取り、掲載許諾交渉、原稿チェックの依頼、印刷会社とのシビアな価格交渉とスケジュール管理
シーカヤックなどの新しい体験ツアーの開発万が一の事故に備えた安全管理マニュアルの作成、インストラクター資格の確認、保険加入、機材の調達と地道なメンテナンス

「好き」という気持ちだけで入職した人が、この地味で過酷な現実に直面し、理想とのギャップに苦しんで早期離職してしまうケースは後を絶ちません。だからこそ、面接官は「この応募者は、仕事の厳しい側面まで理解した上で、覚悟を持って応募してくれているだろうか?」という点を見ているのです。


落ちる志望動機を「受かる志望動機」へ変える魔法の公式

では、どうすればその他大勢から抜け出し、「この人と一緒に働きたい!」と思わせる志望動機が作れるのでしょうか。

その答えは、あなたの「過去の経験」「観光協会の未来の仕事」を、論理的に結びつけることにあります。私たちはこれを「貢献意欲の証明」と呼んでいます。

難しく聞こえるかもしれませんが、心配はいりません。以下の3つのステップに沿って考えるだけで、誰でも説得力のある志望動機を組み立てることができます。

Step 1:【自己分析】あなたの経験は「宝の山」である

「私には、アピールできるような特別な経験なんてない…」

そう思っていませんか?それは大きな間違いです。アルバイト、サークル活動、ゼミの研究、どんな些細な経験にも、観光協会の仕事に活かせる「スキル」という名の原石が眠っています。

大切なのは、「何をしたか」ではなく「その経験から何を学び、どんなスキルを得たか」を言語化することです。

  • カフェのアルバイト経験
  • NG例: 「接客を頑張りました」
  • OK例: 「国籍も年齢も違う多様なお客様一人ひとりのニーズを汲み取り、最適な商品を提案する対話力を磨きました。時にはクレーム対応を通じて、冷静に相手の言い分を傾聴し、解決策を提示する課題解決能力も身につきました。」
  • 文化祭の実行委員経験
  • NG例: 「みんなで協力して成功させました」
  • OK例: 「意見が対立するメンバーの間に入り、双方の目的を整理することで合意形成を図る調整力を発揮しました。また、限られた予算と時間の中で、業者との交渉やスケジュール管理といったプロジェクト推進能力を学びました。」
  • 大学のゼミでの地域調査
  • NG例: 「地域の歴史を学びました」
  • OK例: 「文献調査やフィールドワークを通じて一次情報を収集し、それを分析してレポートにまとめる情報収集・分析能力を習得しました。特に、統計データを用いて地域の観光課題を客観的に可視化する手法を学びました。」

このように、あなたの経験を「スキル」という言葉に変換してみてください。コミュニケーション能力、企画力、調整力、情報発信力、課題解決能力…これらはすべて、観光協会の仕事で直接的に求められる能力です。

Step 2:【企業研究】未来の職場を「解剖」する

自己分析で自分の武器がわかったら、次はその武器をどこで使うかを考えます。つまり、あなたが応募する観光協会のことを徹底的に調べるのです。

公式サイトやSNSを眺めるだけでは不十分です。以下の視点で「解剖」するように深くリサーチしましょう。

  • 彼らの「現在の課題」は何か?
  • 最近のプレスリリースや事業報告書を読み込む。「若者向けのコンテンツが少ない」「インバウンド対応が遅れている」「オーバーツーリズムが問題になっている」など、彼らが直面しているであろう課題を探ります。
  • 彼らが「今、力を入れていること」は何か?
  • 新しく始めたイベント、力を入れているSNS、最近よく使うキャッチコピーなどから、組織としてどの方向へ進もうとしているのかを読み解きます。
  • DMO(観光地域づくり法人)としての役割は?
  • 近年、観光協会は単なる「案内所」から、データに基づいた戦略で地域を経営する「DMO」へと進化しています。その協会がDMOとしてどんな戦略(ターゲット顧客、ブランドイメージなど)を掲げているかを理解することは、極めて重要です。

このリサーチを通じて、「この協会は〇〇という課題を抱えている。私の△△というスキルは、この課題解決に直接貢献できるはずだ!」という仮説を立てることが、このステップのゴールです。

Step 3:【論理の構築】「好き」を「貢献」へと昇華させる

さあ、いよいよ最終ステップです。Step1で見つけた「あなたのスキル」と、Step2で見つけた「観光協会の課題」を、感動的なストーリーとして繋ぎ合わせます。

以下の「結論→根拠(エピソード)→貢献」の黄金フレームワークに沿って、あなたの言葉を組み立ててみましょう。

1. 【結論】私が貴協会で成し遂げたいこと

  • 「私が貴協会を志望する理由は、大学のゼミで培ったデータ分析能力を活かし、〇〇市が抱える『若年層観光客の誘致』という課題解決に貢献したいからです。」

2. 【根拠】なぜ、私にはそれができると断言できるのか(具体的なエピソード)

  • 「在学中、△△というテーマで観光マーケティングを専攻し、SNSの投稿データや人流データを分析して観光客の動態を可視化する研究に取り組みました。特に、〇〇市の観光客層を分析した際、20代の訪問率が全国平均を15%も下回っているにもかかわらず、SNS上では『レトロな街並みがエモい』といった特定のキーワードに対するエンゲージメントが非常に高いという潜在的なニーズを発見しました。」

3. 【貢献】入職後、その能力をどう活かすのか

  • 「この経験から得た分析スキルを活かし、入職後はまず、貴協会が現在発信しているSNSコンテンツのターゲット層と、実際のインプレッションデータとの乖離を分析したいと考えております。その上で、具体的なデータに基づいた『若者に響くデジタルコンテンツ企画』を提案し、これまでアプローチできていなかった層への魅力発信に貢献できると確信しております。それは、パンフレット作成やイベント運営といった地道な業務の精度を高める上でも、必ず役立つスキルだと考えております。」

このフレームワークを使えば、「地元が好き」という漠然とした感情が、「あなたのスキルが、この協会のこの課題を、このように解決できる」という、誰も反論できない説得力を持ったロジックへと進化するのです。


【経験別】今すぐ使える!志望動機・例文3選

それでは、ここまでのステップを踏まえて作成した、具体的な志望動機の例文を3つのパターンでご紹介します。自分の経験に最も近いものを参考に、あなただけのオリジナルストーリーを作成してみてください。

例文1:ゼミや研究での学びをアピールするケース

> 私が貴協会を志望する理由は、大学で培ったマーケティングリサーチのスキルを活かし、〇〇市の「関係人口の創出」という目標に貢献したいと考えたからです。

>

> 私は大学で地域創生をテーマにしたゼミに所属し、特に「観光以上、定住未満」とされる関係人口の重要性について研究を深めてまいりました。卒業論文では、〇〇市の現状を調査し、豊かな自然や農産物といった魅力がある一方で、都市部の消費者との接点が少なく、その価値が十分に伝わっていないという課題をデータから明らかにしました。調査の過程で、地元の農家の方々にお話を伺う機会があったのですが、「想いを込めて作っても、どう伝えればいいかわからない」という切実な声に触れ、地域の魅力を「翻訳」し、適切な相手に届ける架け橋のような存在になりたいと強く思うようになりました。

>

> 入職後は、このリサーチ経験で培った課題発見力と情報分析能力を活かし、まずは貴協会が運営するECサイトの顧客データやSNSのエンゲージメントを分析したいです。そして、「誰に」「何を」「どう届けるか」をデータに基づいて再設計し、都市部在住者がオンラインで〇〇市と関わる新しい体験プログラムを企画・提案することで、貴協会の事業に貢献できると確信しております。

例文2:サークルや部活動での経験をアピールするケース

> 私が貴協会で成し遂げたいのは、学生時代にイベント企画サークルで培った「調整力」と「実行力」を活かして、地域全体を巻き込んだ新しい観光イベントを成功に導くことです。

>

> 私は100名規模の国際交流イベントを企画するサークルで、企画リーダーを務めておりました。当初、文化の違いから留学生と日本人学生の間で意見が衝突し、企画は停滞寸前でした。私は双方の意見を個別にヒアリングし、「互いの文化を体験したい」という共通の願いがあることを見出しました。そこから、対立点ではなく共通のゴールを提示し、粘り強く対話を重ねることで、最終的には全員が納得する形でイベントを成功させることができました。この経験から、立場の違う人々の間に立ち、一つの目標に向かってチームをまとめる調整力の重要性を学びました。

>

> 貴協会が近年、地域の事業者や住民の方々と連携したイベントに力を入れていることを存じ上げております。観光協会の仕事は、まさに多様なステークホルダーとの合意形成の連続であると理解しております。私のこの「調整力」は、行政、事業者、そして地域住民の皆様のハブとなり、全員が「やってよかった」と思えるような事業を推進していく上で、必ずや貴協会のお役に立てると信じております。

例文3:アルバイトでの経験をアピールするケース

> 私が貴協会を志望するのは、ホテルでのアルバイトを通じて身につけた「おもてなしの精神」と「潜在ニーズの先読み力」を、より広いスケールで〇〇市の観光客満足度向上に活かしたいからです。

>

> 私は市内のホテルで3年間、フロントスタッフとして国内外からのお客様をお迎えしてきました。マニュアル通りの対応だけでなく、お客様の荷物や会話の断片から「この方は歴史に興味があるのかもしれない」「お子様が退屈しているようだ」といった背景を察し、地図に載っていない地元の史跡や、お子様が楽しめる公園の情報を先回りしてご提案することを心がけておりました。その結果、お客様から「あなたのおかげで最高の旅になった」という感謝の言葉を頂戴し、私の小さな工夫が、〇C市の思い出そのものを豊かにできるのだと実感しました。

>

> この経験は、観光案内所での窓口業務はもちろんのこと、すべてのお客様がまだ言葉にできていない「真の満足」とは何かを考え、新しい観光プランやパンフレットの企画に反映させていく上で、私の大きな強みになると考えております。一人ひとりのお客様と真摯に向き合ってきた経験を、今度は〇〇市全体の観光戦略に活かし、リピート率向上に貢献したいです。


よくある質問(FAQ)

Q1. アピールできるような華々しい経験が何もありません。どうすればいいですか?

A1. 心配ありません。面接官は「リーダー経験」や「大会での優勝経験」といった肩書きを見ているわけではありません。大切なのは、地道な経験からでも、学びを得て次に行動できる「再現性のある能力」を示せるかどうかです。例えば、「授業で誰よりも熱心にノートを取り、友人から頼られた」という経験は、「情報を正確に整理し、他者に分かりやすく伝える能力」としてアピールできます。どんな経験も、切り口次第で輝く強みになります。

Q2. 地元の課題について、ネガティブなことを話してもいいのでしょうか?

A2. はい、むしろ話すべきです。ただし、「批判」で終わらせず、必ず「解決策の提案」とセットで語ることが重要です。「〇〇はダメだ」と評論するのは簡単ですが、「〇〇という課題がある。私は△△というスキルで、これを□□という形で解決したい」と語ることで、当事者意識と問題解決能力の高さを示すことができます。現状を正しく認識し、未来志向の改善案を提示できる人材は非常に魅力的です。

Q3. 逆質問で「何か質問はありますか?」と聞かれたら、何を聞くべきですか?

A3. 絶好のアピールチャンスです。「福利厚生について」といった自分の利益に関する質問は避け、「入職までに勉強しておくべきことはありますか?」という意欲を示す質問や、「本日お話を伺った〇〇という事業について、現在最も大きな課題は何ですか?」といった事業への深い関心を示す質問が効果的です。あなたの熱意と、即戦力になりたいという強い意志を伝えましょう。


『最高のファン』から『最強のパートナー』へ

ここまで、観光協会の志望動機で「地元愛」から一歩踏み出すための具体的な方法論と例文をお伝えしてきました。

もうお分かりいただけたかと思います。

面接官が求めているのは、「地元が大好きです」という美しい感想文ではありません。

「私は、あなたの組織が抱える課題を、このスキルで解決できます」

そう断言できる、力強い企画提案書なのです。

あなたのこれまでの人生に、無駄な経験など一つもありません。一つひとつの経験を丁寧に掘り起こし、未来の仕事と結びつける作業は、決して楽ではないかもしれません。しかし、その先には、単なる「就職活動の成功」だけでなく、愛する地元に貢献できる、やりがいに満ちた未来が待っています。

「好き」という熱い想いを、冷静な分析とロジックで武装する。

それこそが、あなたがその他大勢の「ファン」から抜け出し、地域にとってかけがえのない「最強のパートナー」になるための、唯一の道です。

あなたの挑戦を、心から応援しています。

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