あの日、私は会議室で涙をこらえていた
「また今月もノルマ未達成か。君、やる気あるの?」
上司の声が会議室に響いた瞬間、胃がキュッと縮んだ。30人の前で詰められる。みんなの視線が痛い。でも本当に痛かったのは、「頑張っても報われない」っていう、もうどうしようもない現実の方だった。
あれは2023年の秋。前の会社で営業やってた頃。
毎朝7時に家出て、終電で帰宅。土日も「自主的な」勉強会——という名の実質強制参加。スマホの通知音が鳴るたび、「また上司からのLINEか」って心臓バクバクして。平均睡眠時間4時間。鏡見ると、28歳なのに目の下のクマが消えてない自分がいた。
「もう無理かも」
そう思った夜、私はスマホで「女性 転職 体力仕事」って検索してた。
もともと体動かすの嫌いじゃなかったんです。学生時代バスケ部だったし、運転も割と得意。「営業で培ったコミュニケーション力(笑)と、この無駄な体力、どっか活かせないかな」——そんな感じで、深夜2時に求人サイト見てて、目に留まったのが「パルシステム 配達スタッフ募集」だった。
でも、正直めちゃくちゃ不安だった。
「配送ドライバーって男の仕事じゃないの?」
「力仕事、女でホントにできんの?」
「また人間関係で消耗すんのヤダな…」
その時の私、誰にも言えない本音があって。「もう人と戦いたくない。静かに、ていうか普通に働きたい」って。「普通」のハードル、あの頃めちゃくちゃ低かった。
あれから1年半。今、パルシステムの配達員やってます。
この記事では、元営業の私が実際に転職してどうだったかを、良いことも微妙なことも、全部書きます。求人サイトの綺麗な言葉じゃ分からないリアルな話。
あの頃の私が知りたかったこと
転職考えてるあなたに、まず伝えたいことがあって。
求人に書いてある「アットホームな職場」「女性活躍中」って言葉だけじゃ、何も分かんないんですよ。私が本当に知りたかったのは、そういう綺麗事じゃなかった。
「朝、会社行くのが怖くなくなるの?」
「日曜の夜、胃痛くならない?」
「女が本当に続けられんの?」
そういう、生々しいやつ。
初出勤の朝のこと
2023年11月のどっかの月曜日、初出勤。
営業時代は毎朝7時起きだったけど、配達員は6時起き。「うわ、キツ」と思いながら営業所着いたら、駐車場に既に20台くらいトラック並んでて、スタッフがもう淡々と荷物積んでる。
「おはようございます!」
元気よく(営業の癖で)挨拶したら、40代くらいの女性が振り返った。
「あ、新人さん?おはよ。今日は私についてきて」
その人が先輩の田中さん(仮名)。営業時代の「おはようございます!(全員で声揃えて!)」みたいな強制的なテンションとは、なんか違う。普通。自然体。
「あれ、なんか…肩の力抜けるな」
妙な安心感があった。今思えばそれが良かったのか悪かったのか、正直まだよく分かんない。
1週間目、想像と違った
研修期間中、私が一番気にしてたのは「力仕事、マジで大丈夫かな」ってとこ。
確かに重い。水とか米とか。でも営業所に台車あるし、玄関先まで運ぶ時もお客さんが「重いでしょ、持つよ」って手伝ってくれること多い。
ある日、80代くらいのおばあちゃんの家に配達した時、こう言われて。
「あら、女の子?珍しいわね。でも安心するわ。男の人だと部屋入れるの少し怖いけど、女性なら気軽にお話しできるもの」
この言葉で、なんかちょっと救われた気がした。女であることが「不利」じゃなくて「強み」になる場面もあるんだ、みたいな。でも、これも配達先によるし、運もあるとは思う。
1ヶ月目、気づいたこと
営業時代、私ずっと誰かと比較されてた。「A君は今月○件なのに、君△件」「B子もう昇進したのに」——みたいな。
でも配達員は違った。
もちろん配達件数のノルマある。でもそれって「他人と競う」じゃなくて、「自分のルート効率化する」っていう個人戦。朝礼で誰か吊し上げるとかない。
「昨日より5分早く回れた」
「このルートなら信号待ち少ない」
そういう小さい工夫が、自分の成果になる。誰かを蹴落とさなくても、ちゃんと評価される。
そのときは正直うまく言葉にできなかったけど、帰りの車の中でふと「あ、私もう誰とも競ってないな」って気づいた。これが良いのか悪いのかは、人によると思う。
正直に話す:良いとこと、キツいとこ
良かったこと(というか楽になったこと)
精神的なやつ
一番大きいのはこれ。
営業時代、スマホ見るたび心臓バクバクしてた。上司からのLINE、顧客からのクレーム、同僚との比較…。でも今、業務時間終わったら本当に終わり。会社のLINEグループもない。
「あれ、私、日曜の夜に胃痛くならなくなってる」
これに気づいた時、なんか少し泣きそうになった。変な話だけど。
給料の話
正直、「配達員って給料安いんじゃ?」って思ってた。でも実際違った。
私の場合(東京近郊・正社員):
- 基本給:月22万
- 配達手当:3万くらい
- 交通費:全額
- 月収:25〜27万
営業時代は基本給18万+歩合で、歩合が不安定で手取り20万前後。今の方が安定してるし、残業少ない分、時給で考えたら確実に上がった。
ただ、地域差はある。地方だと基本給18万スタートのとこもあるらしい。正確な数字じゃないけど、体感そんな感じ。
人間関係がシンプル
営業所に30人くらいスタッフいるけど、配達中は基本一人。濃密な人間関係求められない。
「飲み会行かないと評価下がる」とか、「派閥入らないとハブられる」とか、そういうのない。ドライな関係好きな人には天国。私はそっち側だった。
正直、ここは覚悟がいる話
夏と冬はマジできつい
これは覚悟してほしい。
真夏の配達、マジで地獄。トラックのエアコン効くけど、配達のたび暑い外出る。汗だくになるし、熱中症の危険もある。保冷剤タオルに巻いて首に巻いたり、塩分タブレット常備は必須。
冬は冬で早朝の寒さが厳しい。手かじかんで荷物持ちにくいし、雪の日の運転は神経使う。
「四季を感じられる仕事ですよ」って求人に書いてあったけど、良い意味じゃなかった(笑)
トイレ問題、誰も教えてくれない
これ重要。
配達ルートによっては3〜4時間トイレ行けないこともある。私、最初の1ヶ月これに苦労した。コンビニの場所事前にチェックしたり、朝の水分摂取調整したり、工夫必要。
女性ならではの悩みとして、生理の時はマジできつい。これは向き不向きあると思う。
最初は道に迷いまくる
ベテランなら大丈夫だけど、最初の2〜3ヶ月、道に迷いまくった。カーナビあっても、住宅街の細い道難しい。「あれ、さっきもここ通ったような…」って焦ること、めっちゃある。
でもこれは慣れの問題。3ヶ月もすれば自分のルート完璧に覚えられる。たぶん。
女性配達員のリアル
実際の男女比
私の営業所(東京近郊)の場合、全体30人中、女性8人。約27%くらい?
正確な数字じゃないけど、体感では3割弱。「あ、意外と女性いるな」って最初に思ったの覚えてる。ただ地方の営業所だと、女性比率10〜15%くらいのとこもあるらしい。都市部ほど女性多い傾向。
年齢層幅広くて、20代後半〜50代まで。私と同じく「前の仕事きつくて転職した」って人、半分くらい。
女性ならではの苦労
正直に言うと、力仕事で男より不利な場面はある。
20kgの米袋3階まで運ぶとか、2Lペットボトル×6本入り段ボールとか、普通にキツい。でもこれ、工夫でカバーできる。
私の工夫:
- 台車使う(営業所に常備されてる)
- お客さんに「お手伝いいただけますか?」って声かける
- 筋トレ始めた(週2でジム)
3ヶ月もすると体慣れる。今では10kgの段ボール「軽い」って感じるようになった。人間の適応力すごい。
離職率と「辞める人」の理由
私の営業所のケース
1年半在籍して、辞めた人3人。30人中3人だから、離職率10%くらい?
営業時代の会社、年間離職率30%超えだったから、それと比べると圧倒的に低い。
辞めた理由:
- 1人:腰痛めた(50代男性)
- 1人:引っ越し(20代女性)
- 1人:他業種転職(30代男性)
「人間関係イヤで」とか「会社ブラックで」って理由で辞めた人いない。これ重要なポイントだと思う。たぶん。
長く続けてる人の共通点
3年以上働いてるベテランさんたち見てると、共通点ある気がする。
- 一人時間好き:配達中基本一人。これ「孤独」って感じるか「自由」って感じるかで分かれる
- ルーティンワーク苦にならない:毎日同じルート回る。変化求める人には向かない
- 過度な承認欲求ない:「すごい!」って褒められる仕事じゃない。地味でもコツコツやれる人
逆に1〜2ヶ月で辞めた人(研修期間中)は「思ったより地味だった」「もっとお客さんと交流あると思った」って理由多かった。
向き不向きがはっきり分かれる
たぶん向いてる人
✓ 前職で人間関係疲れた人
配達中一人。シンプルな人間関係。
✓ ルーティンワーク苦にならない人
毎日同じルート効率化してく楽しさ感じられる。
✓ 運転好き、得意な人
1日の大半運転。これ苦痛だと厳しい。
✓ 安定収入求める人
歩合制じゃないから収入安定。
✓ 早起き苦にならない人
朝6時出勤基本。夜型の人には辛い。
たぶん向いてない人
✗ 人と関わる仕事好きな人
お客さんとの会話1件1〜2分。営業みたいな深い関係性築けない。
✗ キャリアアップ求める人
配達員から管理職の道あるけど、狭き門。劇的な昇進期待できない。
✗ 変化・刺激求める人
毎日同じルート。「毎日違うことしたい」タイプには単調。
✗ 完全デスクワークしたい人
体動かす仕事。座り仕事好きな人には不向き。
残業と労働時間
私の1週間(標準的な週)
月曜日
- 6:00 起床
- 7:00 出勤
- 7:30 荷物積み込み
- 8:30 配達スタート
- 12:00 休憩(30分)
- 15:30 配達終了
- 16:00 帰社、報告書
- 16:30 退勤
実労働時間:8.5時間くらい(休憩含めて9時間)
残業月5〜10時間程度。繁忙期(年末年始、お中元・お歳暮)20時間くらいになることあるけど、営業時代の「月80時間残業」と比べたら天国。正直、営業よりマシっていう感覚に近い。
休日
基本週休2日(シフト制)。
営業時代「休日も顧客対応」「土日も勉強会」当たり前だったけど、今は完全オフ。会社の携帯も持たされないから、休日に仕事の連絡来ることゼロ。
「休みの日、本当に休める」
これがどれだけ楽か、前職ブラックだった人なら分かってもらえると思う。
採用プロセス
応募から内定まで(2023年10月)
1週目:応募
求人サイトから応募。履歴書と職務経歴書送付。
2週目:書類選考通過
メールで連絡。「面接日程調整したい」って内容。
3週目:面接(1回のみ)
営業所で所長と面接。時間30分くらい。
聞かれたこと:
- 「なぜ配達員に?」
- 「運転得意?事故歴は?」
- 「体力自信ある?」
- 「早起き大丈夫?」
圧迫面接じゃなく穏やか。「配達員の仕事、正直キツいこともあるよ」って現実的な話もしてくれた。
4週目:内定
電話で連絡。「ぜひ来てほしい」って。
5週目:入社手続き、研修
全体で約1ヶ月。営業時代の「3回面接+適性検査+最終役員面接」と比べると、圧倒的にシンプル。
福利厚生
実際に使ってる制度
健康診断(年1回)
会社負担。婦人科検診もオプションで受けられる。
社員割引
パルシステムの商品社員価格で買える。約10〜15%オフ。一人暮らしの私には地味にありがたい。
育児・介護休暇
私まだ使ってないけど、同僚の女性が産休・育休取得して復帰してた。
有給休暇
年間10日(初年度)。営業時代「有給?何それ?」状態だったけど、ここ普通に取れる。
制服貸与
夏服・冬服支給。私服汚す心配ない。
1年半働いて、変わったこと
体
- 体重:3kg減(健康的に引き締まった)
- 体力:明らかにアップ
- 睡眠:平均6時間(営業時代4時間)
心
- 日曜の夜、胃痛くない
- スマホの通知音に怯えなくなった
- 「あ、今日は怒られなかったな」って数えてる自分いなくなった
お金
- 月収:営業時代より+3万(安定)
- 貯金:月5万できるようになった
- ストレス買い減った(営業時代毎週末、ストレス発散で散財してた)
人間関係
- 「仕事の人間関係で悩む」ことほぼゼロ
- プライベートの時間増えて、友達と会う余裕できた
- 恋人できた(心に余裕できたからだと思う)
最後に
この記事読んでるあなた、もしかしたら今、職場で辛い思いしてるかもしれない。
「もう誰とも戦いたくない」
「静かに、っていうか普通に働きたい」
「安定した収入あればいい」
そう思ってるなら、パルシステムの配達員、選択肢の一つになる。かも。
でも誤解しないでほしい。これ「楽な仕事」じゃない。体力必要だし、夏冬キツい。キラキラした仕事でもない。地味。ルーティン。変化少ない。
それでも私、この仕事選んで良かったと思ってる。
なぜなら、誰かに勝たなくても、今日をちゃんと終えられる仕事、だったから。
もし迷ってるなら
まず営業所見学行くといい。パルシステム、事前見学受け入れてくれるとこ多い。実際の配達員の動き見て、「自分にできそうか」確認してほしい。
そして、もし「やってみようかな」って思ったら、まず応募してみてほしい。面接で現実的な話聞いて、それでも「やりたい」って思えるなら、たぶん向いてる。
私も1年半前、不安だらけだった。でもあの時勇気出して応募して、本当に良かった。
もう戦いたくないって思ってるあなたの、次の一歩を応援してます。
補足:よくある質問
Q. 運転免許必須?AT限定でもOK?
A. 必須。私AT限定だけど、パルシステムの配送車ATだから問題なし。
Q. 配達件数のノルマ厳しい?
A. 正直、最初キツい。でも慣れれば達成できる範囲。未達成でも詰められることない。
Q. 一人暮らしでも生活できる給料?
A. 都市部なら可能。私、東京で一人暮らししてるけど、月5万貯金できてる。
Q. 年齢制限は?
A. 公式には「65歳まで」だけど、実際50代の新人も普通にいる。
Q. 体力自信ないんだけど…
A. 女性でも続けてる人多い。最初筋肉痛必至だけど、3ヶ月で慣れる。私も最初腕上がらないくらい筋肉痛だった。
この記事を書いた人
フリーランスライター。
元ヤクルトレディ、ヤマト運輸の助手(納品補助)、パルシステム配達員の経験があります。子育て期から一貫して現場仕事に携わってきました。現在は「戦わない働き方」をテーマに執筆しています。
※本記事は筆者の実体験と、当時の同僚・現場での聞き取りをもとに構成しています。待遇や環境は営業所・雇用形態・時期により異なります。
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